草季庵【閉店】


取引先の近所に、地元で有名な蕎麦屋があると知り伺った。小民家のような店の裏手にある駐車場に車を停め、歩いて店の入口へ。なんと15人くらいが並んでいる。カップル、夫婦、団体女性、相当な評判店のようだ。受付表に名前を書き、しばらく待つ事に。30分くらい待ってお呼びがかかった。ようやく呼ばれ中へ入ると、薄暗い和モダンな部屋へ通された。店内には6組しか入れない様子で、みんな寛いでいる。これで人気もあれば回転が悪くなるのも当然。給仕の女性が「お茶の代わりです」と出したのは蕎麦湯。つゆも無いので、そのまま頂く。正直言って微妙。無くはないが美味しいものではなかった。


注文は辛味せいろ(大盛)。大盛りを注文したはずだが?と思ってしまうくらい上品な盛りだった。石臼の挽いた粗挽き蕎麦。不揃いに切られた蕎麦は歯応えのある少し太めのもの。嫌いではない。きっとこれ以上茹でてしまうと蕎麦が短く切れてしまうだろう。辛味大根は本場福井のを連想させる十分な辛さ。これが好きな人はつゆの味などお構いなしと沢山入れて食すのだろうが私はそこまで入れない。しかし、山葵とは違う独特の辛味と風味と瑞々しさが蕎麦を引き立てる。つゆは出汁の利いた甘め。粗挽きで、少し太めの蕎麦には若干弱い印象。細切りであれば相性抜群だったであろう。最後に蕎麦湯と合わせると非常に美味しい。巷で増えてるドロドロしたものと違いさらっとした蕎麦湯。十分に蕎麦の風味が出ている。食後に一番嬉しい瞬間だ。

草季庵【閉店】
静岡県御殿場市杉名沢306-1

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